2015年1月31日土曜日

直積写像

数学のノートを作っていて,通常の記法とは異なった意味で使ってしまっていた記号があることに気づきました.

通常の記法では,集合$A, B, X, Y$に対して,写像$f : A\to X$と写像$g:B\to Y$が与えられたとき,$f$と$g$の直積写像$f\times g : A\times B \to X\times Y$を$(a, b)\in A\times B$に対して
\[(f\times g)(a, b)=(f(a), g(b))\]
で定義します.

ところが私は今までノートの中では,$C$を集合とするとき写像$\varphi : C\to X$と$\psi : C\to Y$に対して,$\varphi \times \psi : C\to X\times Y$を,$c\in C$に対して
\[(\varphi \times \psi)(c)=(\varphi (c), \psi(c))\]
という意味で使ってきたことが多いように思います.この意味で使っていたため,直積写像に対応する写像を扱う場合にはわざわざ射影$\pi_1 : A\times B \to A$と$\pi_2:A\times B\to B$を用意して,$f\circ \pi_1 : A\times B \to X$や$g\circ \pi_2 : A\times B \to Y$のように定義域を揃えてから$(f\circ \pi_1)\times (g\circ \pi_2) : A\times B \to X\times Y$のように記述していました.

最近まで両者を混同して記述していることに気づいていませんでした.後者の意味の写像(定義域が揃っていて,$\varphi$と$\psi$を座標写像とするような写像)は$(\varphi, \psi) : C\to X\times Y$, $c\mapsto (\varphi(c), \psi(c))$と記述するのがよいようです.しかしこの記法でいくと,写像の族$f_\lambda : C\to X_\lambda$ ($\lambda\in \Lambda$)が与えられているときに写像$f : C \to \prod_{\lambda\in \Lambda}X_\lambda$で$f(c)=(f_\lambda (c))_{\lambda \in \Lambda}$を満たしているものは$f=(f_\lambda)_{\lambda\in \Lambda}$という表記になると思いますが,直積空間$\prod_{\lambda \in \Lambda}X_\lambda$の元$x=(x_\lambda)_{\lambda\in \Lambda}$を写像$x : \Lambda \to \prod_{\lambda\in \Lambda}X_\lambda$とみなしていたのと混同してしまわないかを危惧しています.

とりあえずこれまでに作ったノートの記述を洗い直さないといけないです.地味に辛いっす.